2012.03.03

長呼気丹田呼吸法とは?

剣道時代 2012年 03月号 [雑誌]剣道時代 2012年 03月号 [雑誌]

体育とスポーツ出版社 2012-01-25
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剣道時代3月号は昇段審査の特集でした。

少し時間があった時にじっくり読み返してみたのですが、
八段審査の審査員講評、合格体験記で多くの先生が
触れられているのが発声・呼吸法の重要さでした。

私は六段審査にあたって、発声を意識して稽古を重ねたこともあり、
読んでいて先生方に自分の考えを後押ししていただいたような気持ちです。


その呼吸法としてたくさんの先生方が書かれているのに、
「長呼気丹田呼吸法」というものがありました。

この言葉は私自身はあまりなじみがなかったので、
いろいろ調べてみたところ・・・

・長呼気丹田呼吸法
 下腹を張り、丹田に意識を集中させる
 "長呼気"とあるように、吸う息を短く、吐く息を長く行う呼吸法

"呼気は実、吸気は虚と表すことができ、虚を打つことが重要である"
といった表現もありました。

呼吸法の要の部分はそれこそ八段の先生に
習わなければわからないのだと思いますが、
"息を長く吐く"という部分が一般的な解釈のようです。

うーんなるほどなるほど、
呼吸について考える材料にしていきたいと思います。

いつかは"相手の呼吸を乱して打つ"、"相手が吸う瞬間に打つ"
というような熟練の打突を打てるようになりたいものです。


子供たちにも最近はもっぱら「大きな声を出そう」と指導していますが、
これは大きな声を出せば、自然と長く吐く呼吸法が身につくと思ってのことです。

あと、自分自身でも心がけていることを書いてみようと思います。

・切返し、基本打ちの構えでの発声を大きくする
 これは子供たちに言っていることですから、自分がやらないとですね

・基本打ちの打突後の発声を長くする
 意識としては、"声で残心を取る"ことをイメージしています
 声がつながると、自然と攻めが切れないため充実した基本打ちになります

・初太刀の発声を注意する
 稽古中はどうしても呼吸が乱れてしまいます
 そのため、少なくとも初太刀は"息を長く吐き"、打ち切りたいと思っています

・のどが枯れないように発声する
 のどが枯れるのは、のどで発声しているためだと思います
 なるべく腹を意識して、腹から発声したいと試しています

・道場で一番大きな声を出す
 道場に来た人が、「あっ今日はあの人来てるな」と
 声でわかるぐらいにいい発声をしたいと思っています

こんなところでしょうか、ここしばらくは発声マニアなのです。
いろいろ試すとなんでもおもしろいですね。

剣道の世界は奥が深いですね。
そしてどんどん深みにはまっています!(^-^;)

2012.02.10

股割り継続中~

肋骨の怪我もだいぶ良くなってきました。
週末には稽古に復帰できそうな感じです。(*^-^)b

それにしても、ちょっと今回は治りが遅い気がしますね。
前回よりもダメージが大きかったのかもしれません。

でも稽古できない状況だと、年末年始に本を読んだように、
他のことに気づくことが多いですね。


股割りも地味~に継続中です。
ちょっとコツがわかってきた気がします。

股割り3
開脚して重心を前に移動することを少し前に書きましたが、
この状態からかかとを支持点にして、
上半身を"持ち上げる"ようにすると
より重心が前に持ってこられるし、楽に前屈ができます。

図のように、かかとでは下方向に踏ん張り、
上半身は前方に伸ばすようにします。

かかとを支点に"踏ん張る"ようにすると、
腿の裏側を単に"伸ばす"というよりも、"突っ張る"感じになります。
これが"股割りは筋トレの感覚に近い"ということかな、と思いました。


そして、この"かかとで踏ん張る"、"上半身を持ち上げる"は
そのままターンオーバーにつながるんだと実感できました。

むしろ、股割りをして、その延長線上にターンオーバーがあるんじゃなくて、
"ターンオーバーさせようとすること自体が股割り"なんだと思えてきました。

なんでしょう?この語呂遊びのような感じ。笑
通っぽいですね。(^-^;)

ひとまず今はターンオーバーを目指してみようと思います。


経験上こういうのは必死にやらないのが上達のコツな気がします。
テレビ見ながら、とか適当に気楽にやっていた方が
意外にうまくいく瞬間が来るんですよね。

ターンオーバーもそのうちできるでしょう~。
それぐらいの気持ちでやろうと思います。

2012.02.02

呼吸・発声・攻め

なんだかすごい大発見をしてしまいました!(・ω・)ゝ


ここしばらく稽古できていないんですが、
なんとなーくぼんやりと呼吸について考えていました。

稽古している時の自分の呼吸の仕方を振り返ってみると・・・

えー

息を吸うときはお腹を膨らませて・・・

息を吐くときは発声するときだから・・・

このときはお腹に力を入れて張り出してるな・・・

・・・

ん・・・?


吸うときにお腹を膨らませて・・・
吐くときにもお腹を膨らませる・・・
これって・・・

密息だ!Σ(゜Д゜)

そうか、知らず知らず自然と密息になってたんだ!


六段審査に向けての稽古で、発声の仕方もかなり考えて試していたんですが、
いろんな先生方の教えや自分なりの方法を合わせると、

①吐くときに強くお腹に圧力をかけて、この状態で発声する
②口は大きく開けすぎずに発声する
③声は低い軌道で、口から地面をたどって相手に伝わるような感覚で発声する
④発声しない場合は息を口から細く長く吐く
⑤息を吸うときは腹を圧したまま鼻から吸う

という方法が一番自分に合っていて、自分からもしかけられるし、
相手のしかけに対しても素早く対応できると感じていました。

①の腹部を圧することとで丹田が充実し、攻めに圧力が出てきますし、
④の細く長く吐き続けることで攻めが途切れないようにすることができます。
⑤は吸い直すときに腹がゆるんでしまうと、同じく攻め・縁が途切れてしまうためです。


あと、少し話しが変わるのですが、
土曜日の稽古で後輩に審査の指導をしていて、
どうもその子の発声が良くないことを思い出しました。

「ワッ、ワッ」という感じの発声で、声が途切れ途切れで短く、
声を出すときに肩に力が入ってる感じもしました。

力はそれなりにあるのに、タイミングが合わないとポカッと打たれるときもあって、
何をどう指導したらいいかな~と考えていたんですが、
これも呼吸法が悪いはずだと今思い至りました。


彼はおそらく、

スーハー スーハー スーハー

と吸気と呼気を同じリズムで交互に呼吸しているはずです。

だから大きく長く発声することができないし、
ポカポカ打たれてしまうのも、息を吸う際にしかけられると反応できないためだと思います。

人間息を吸うときは身体が硬直してしまうので、
「息を吸う瞬間を狙え」という教えもあるくらいです。

この子には発声時は腹を圧しつつ、細く長く吐くことを教えればいいはずです。


僕の感覚では、

スッ ハーーーーーーーーーー

ぐらいの感じですね。


発声する場合だと、

スッ セイャーーーーーーーーーー

が僕のイメージです。

こうすれば腹に力が入るので打突も腰から打つことができますし、
吐き続けることで自分から攻め続け、スキを少なくすることもできます。


呼吸入門呼吸入門
斎藤 孝

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またまた話が変わりますが、こちらの本は身体感覚・身体意識の研究者である
斎藤孝さんが呼吸法について書かれています。
『声に出して読みたい日本語』で有名な方ですね。

この中で「3秒で吸い、1秒止め、15秒間吐く」という呼吸法が紹介されていて、
随分前に読んだのですが、いまだに良く覚えています。

いつだったか、剣道日本の八段合格体験記でも、
この呼吸法を実践したという先生がいて、それも印象に残っていました。
僕が六段審査で長く吐くことを意識したのも、この呼吸法が頭に残っていたからなんです。


なんだか話が飛び飛びで申し訳ないのですが、
呼吸法と発声と攻めがすべてつながっていることに
気付けたことが自分では大きな発見です!

しかもその呼吸法は密息でした。

以前紹介した通り、日本文化、袴と着物文化という点とも、
腹を圧し続ける呼吸法はとても素直に結びつきます。

なんだかいままでの考えが全てひとつにつながった気がします!
自分で少し感動しましたし、頭がクリアになった感じです。


剣道では腹式呼吸が良い
と言われていますが、これは間違いですね。


確信しました。

剣道の呼吸法は密息!

間違いありません!

2012.02.01

股割りと重心

構造動作トレーニング “股割り”を極める [DVD]
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DVD買ってしまいました。

最近こういうDVDとかを見るとすぐ買ってしまいます。
うーん、困ったものです。(^-^;)

でもよく考えると・・・
こういうセミナーに出たりしても参加費3,000円ぐらいかかるわけですし・・・
交通費往復1,000円と考えても、そんなに高くはない気もしますね。

うん、高くない!
もちろんセミナーのリアルな体験には代えがたいですが。


まぁ、そんなこんなでDVDを見まして、なるほど!と勉強になったのは、
まず"重心が前に来るポジションを作るのが大事"ということです。

股割り1
開脚に慣れていないと、脚を開いても身体を前に"乗せ"られなくて、
身体の真下に重心が来るようになってしまいます。

この状態から前屈しようとしても、股関節を回すことが難しくて、
少し無理やり背中を曲げるような形になってしまいます。

股割り2
正しくはこうですね!

しっかり開脚して、そこに身体を前に"乗せる"ことで、
上半身からの重心が身体の前に落ちるポジションです。

中村さんは"運動とは重心の移動である"と説明されているんですが、
身体を前に曲げようと思ったら、
まず重心を前に持ってくることが大事というわけですね。

この状態からだったら、もう重心が身体の前にあるわけですから、
重心方向に向かって、股関節からしっかりと
身体を楽に曲げることができます。

と言っても経験上まずこの姿勢を取るのが難しいんです。

僕なりにうまくいくポイントはこんなところです。
・お尻に座布団とひく
・腹圧をしっかりかける
・身体を前に"乗せる"

"乗せる"というのは感覚的ですが、「よっこらしょ」と上半身を前にずらす感じです。
座布団があると、お尻側が高くなるので、重心が前に来やすくなっておススメです。

他には、"あしゆびを握りこむことが大切だ"と説かれているのですが、
その理由がわからずじまいでちょっと残念です。
もしかしたら僕の読み落としかもしれませんが。


あと、最近股割りの状態から、ターンオーバーしてみようと試していて、
かかとから上半身を持ち上げるようにやってみています。

そうすると、このターンオーバーさせること自体が股割りの動きだと感じます。
かかと支点で身体を持ち上げるので、上半身が自然と股関節から曲げられるんです。
股割りを突き詰めていくと、自然とターンオーバーに行き着くのかもしれませんね。

ターンオーバー完成はまだですが、これからもトライしてみます!(`へ´)

2012.01.31

股割りと股裂き

話は少し戻って股割りに。
以前書いた「股割りとストレッチは違う」というのはちょっとわかりにくいですね。

その意味するところは、股割りは単に筋肉を伸ばすことが目的なのではなくて、
「股関節を回すことが目的」だということだと思います。
前に挙げたいくつかのポイントも、股関節を使えるようになるために必要なようです。

股裂きストレッチ
ストレッチでの股割りは、このページで紹介されているように、
足の指先も身体と一緒に前に倒れてしまう形です。

この方法は中村さんは「股裂き」と表現していて、
身体と足先が一緒に動くために股関節から身体を動かすことが
できていないと説明しています。

足先を立てた状態で身体を倒すことで、
脚の部分は角度を変えずに、上体の角度を変えることになり、
股関節から身体を曲げることができるようですね。

開脚前屈
以前僕が載せたこちらの写真も、足先は立っていました。
確か常歩の股割りの説明を参考にしていたので、
足先を立てるようにしていたんだと思います。

でもまだ身体が後ろに残ったまま、無理やり曲げている感じがしますね。

もう少し上体を前に乗り出すような姿勢ができれば、
もっと深い部分からしっかり曲げられそうです。

最近またちょっとずつ股割りに挑戦中ですが、
以前よりもコツがつかめてきた気がします。( ´艸`)ウシシ

それもまた書いていきます。
ではでは。

2012.01.19

股割りの秘訣!

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中村 考宏

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身体の仕組みに興味がつきないこのごろ。
今回は"股割り"です!

著者の中村さんは、運動全般を効率的に行うには
「骨盤を立てること」が最も大切だと説かれていて、
その中で日本古来の股割りに着目されています。

「MATAWARI JAPAN」として股割りの普及活動もされていて、
ホームページもいろいろ掲載されていて要チェックですよ。


中村さんの言う股割りの興味深いところは、
「股割りはストレッチではない」として
ストレッチそのものの有効性を否定されていることです。

僕自身ストレッチをしすぎて炎症を起こしたり、
そのために試合に出られなかった経験も何度かあり、
世間一般ではストレッチは万能だという雰囲気がありますが、
それはどこかおかしいんじゃないかな~と感じていました。

実際そんな記事もこちらにありますね。
そういうわけで、ストレッチを否定する中村さんにグッと興味を持ったわけです。

ストレッチを否定する理由として、
筋肉が力を発揮するのは、筋肉が収縮しているときであり、
"新鮮な生ゴム"のような状態が理想だそうで、
ストレッチしすぎた筋肉は"たるみ切ったボール"だと表現されています。

伸ばしすぎると力が出ないし、伸ばしきったことで力が加わった瞬間に
弾力がなくて捻挫や炎症などの怪我をしやすくなるそうです。


さて、中村さんの説く股割りとは、
「いかに筋を伸ばさずに、股関節の可動域を拡げるか」
を重視していて、書かれているポイントを挙げてみます。

・脚を外転、外旋させて、股関節から屈曲する
・足先を前に倒さず、垂直に立てる
・足の指を握りこむ
・腹圧をかけることが大切
・前方に重心を移動していく(身体の前に椅子を置くと便利)
・「硬さを残して余分をゆるめる」感覚
・筋トレに近い運動感覚


Youtubeの動画でイメージを。

きちんと股割りができると、開いた脚を自然に閉じて、
前方に移動する「ロールオーバー」もできるようになるそうです。
動画の一番最後に映っているのがそれですね。


日本伝統の股割り、奥が深いですね~。
腹圧、外旋などは常歩と共通する部分も多いですし、とても興味深いです。

自分でもポイントを意識して股割りをやってみたところ、
いままでよりも格段にやりやすくなりました!

これまではお風呂上りなどの身体が温まって柔らかい時に、
充分身体を伸ばしてからでないと股割りできなかったのですが、
そんな準備なしにしっかり身体が床に着くようになりました。

とはいえ、まだまだ"ストレッチ"の股割りになっている気がします。
股関節をきちんと回す股割りに迫りたいと思います!

2012.01.07

常歩と密息

錯覚のスポーツ身体学錯覚のスポーツ身体学
木寺 英史

東京堂出版 2011-05-25
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最後に読んだ本がこちら。
常歩の木寺先生が書かれたものです。

剣道だけでなく、スポーツ全般について、
常歩の考え方をまとめた内容になっています。

少し本の本筋とは違った部分ですが、気になった箇所を。

■腹圧をかける
剣道では下腹部に力を入れると言うが、
理想的な状態は力を集中させて固くさせることではない

下腹付近がゆるみ、なおかつ腹圧がかかる状態が良い

腹圧をかけるのは、腸腰筋を活性化させる方法のひとつと考えられる
腹圧により、腹腔内が拡張し圧迫されなくなり、
腸腰筋が動きやすい状態になると考えられる

腹圧を上手にかけるためには、呼吸が大切

■密息
腹式呼吸では、吸気では腹圧がかかるが、
呼気では腹圧が低くなってしまう

そこで密息
吸気で腹を膨らませ、呼気でも腹を膨らませる

着物では帯、剣道では垂れをつける
腹圧に乱れがあると着崩れてしまう
日本人は自然と密息をしていた


剣道で腹・丹田に力を入れると言いますが、
これは力を入れて固くするのではなくて、
垂れをグッと押し返すようにお腹を膨らませることが良いそうです。

その効果として、腸腰筋がより働くようになるという解釈は新鮮ですね。
腸腰筋は背骨と大腿骨をつなぐ太いインナーマッスルで、
前方への移動を速く鋭くするには不可欠と言われているので、
ここをいかに使うかというのは身体を使う上でとても大切なポイントです。


そして・・・なんとここで密息が出てきました!Σ(゚Д゚)

木寺先生も密息は剣道に効果があると考えられているんですね。
ちょうど密息の本を読んだ直後で、不思議な縁を感じてしまいました。

やはり日本の着物文化を考えて、腹式呼吸よりも
密息がふさわしいという考え方は説得力がありますね。


年末年始に読み込んだ本は剣道へのヒントが満載でした。
こういう発見があると、読書も剣道も余計に楽しくなりますね。

これから稽古で少しづつ試してみようと思います!

2012.01.06

日本古来の呼吸法

「密息」で身体が変わる (新潮選書)「密息」で身体が変わる (新潮選書)
中村 明一

新潮社 2006-05-24
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お次はこちら、尺八奏者である著者が呼吸法について書かれています。

著者は尺八の音色に魅せられて演奏を始め、
海外の音楽大学・大学院へ進学します。

そこで胸式呼吸、腹式呼吸、逆腹式呼吸、循環呼吸といった様々な呼吸法を
マスターするも、尺八の演奏にはどの呼吸法もそぐわなかったそうです。

というのも、尺八は管内の容量が非常に大きく、
世界的にも稀なほど大量の息が必要な楽器に分類されるほどで、
どの呼吸法でも息の量が足りないのだそうです。

そして探求の末に、虚無僧寺に伝わる「密息」に出会います。
この密息は尺八の演奏に適しているばかりでなく、
日本古来の文化に根付く呼吸法だそうです。

ちなみに密息は"秘密の技法"という意味ではなく、
"息をひそめる"とか、"息を自他に共にわからせないようにする"という
意味ではないかと著者は解説しています。

■密息の方法
・腹を張り出したまま、吐いて、吸う
 腹を張り出してその形を変えないこと
 外の筋肉を動かさず、横隔膜だけを動かす

・呼吸をしながら周囲に注意を向けてみる
 身体は動かない、世界が静止したように見える
 感覚が鋭敏になる、音・ものの動きを明瞭に感じられる

・骨盤を後ろに倒す(上級者)
 椅子に座って、腰を背もたれにつける感じ

■密息の特徴
・大量に息が吸える
 骨盤を後ろに倒すほど、吸える量が増える

・一瞬で吸える
 鼻から吸うのが楽で、しかも音もなくできる

・強い安定感
 骨盤が後ろに倒れているため、安定感がある
 身体が動かず、安定し、吸う音がしないため静止感がある

・着物文化とのつながり
 着物を着ると自然とできる呼吸

 着物は着崩れないために、常に腹を張るようにしている必要がある
 その状態での呼吸法が密息

・昔の日本人はみんな密息だった
 密息でなければ演奏が難しい尺八の曲が非常に多い


剣道で言うと、構えの際には袴の帯を押し返すように腹に力を入れると思います。
このお腹の状態を維持したまま、呼吸するということです。

よく剣道では腹式呼吸が良いと言われますが、
腹式呼吸では吸う際には腹が膨らんで帯を圧することができますが、
吐く際に腹がゆるんでしまうという欠点があると著者は説いています。

吸う時も、吐く時も、帯を腹で圧する呼吸法が密息で、
着物を着ていれば、自然とこの呼吸法に近づくそうで、
常に帯を圧するために着崩れることがなくなります。


僕は尺八は全く知りませんが、日本の着物文化とからめた
密息の呼吸法にはとても納得させられました。

袴の着付け、所作にも大きく関わってきますし、
通常の呼吸よりも大量に吸えるそうなので、
剣道の上達にもつながってくると思います。


あと、また出てきたのは"骨盤を後傾させる"ことですね。

ここでは、腹腔内の容量を大きくさせ、姿勢を安定させるには
骨盤を後傾させることが良くて、こうすることで
より大量の息を楽に吸えるようになると説明されています。

そもそも腹式呼吸は、本来身体の外側の筋肉が発達していて、
骨盤も立っている西洋人向けの呼吸法であるとも書いています。

日本の伝統的な家屋・農作業では骨盤が後ろに倒れていることの方が自然で、
西洋風の家屋・生活に親しんだ現代社会では、
骨盤の位置が前か後ろが定まらず、精神的にも安定しないとのことです。


うーん、おもしろい。
剣道の文化・身体性を考える上でとても勉強になりました!

2012.01.05

太極拳のヒミツ

誰にも聞けない 太極拳の「なぜ?」誰にも聞けない 太極拳の「なぜ?」
真北斐図

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そろそろ年末年始に読んだ本を紹介していこうと思います。
まずは太極拳についてです!

なぜに太極拳?と思われると思いますが、
純粋に中国の武術に興味がありますし、
違ったジャンルの動作の理論を知ることができれば、
きっと剣道にも役に立つはずだと思っています。

・・・いや、実は自分がいろいろ読むのが好きなだけかもしれません。(;^_^A

この本は太極拳をとても明快に解説されていて、
とてもわかりやすかったし、おもしろかったので、
主要な部分の一部をご紹介します。

■太極拳はなぜゆっくり動くのか?
ゆっくり動くのは、「緊張筋」を使うため。

筋肉は「緊張筋」と「相性筋」の2種類に分けることができ、
それぞれ働きが異なります。

緊張筋:
 ゆっくり動く時の筋肉、赤筋とも言う
 抗重力筋とも言い、重力の働きに対して姿勢を保つ筋肉

 曲芸師のように絶妙なバランスを可能にする
 ハムストリングスや腸腰筋もこれに含まれる

 鍛えても肥大化しないが、使わないと筋繊維が減ってしまいやすい
 しばらく入院していると立てなくなるのはこのため

 無意識の動作で働き、強い力を発揮する(火事場の馬鹿力)

相性筋:
 速く動く時の筋肉、白筋とも言う
 トレーニングして肥大化する
 速い動きや瞬発力を必要とする動きに使われる

スポーツトレーニングでは主に相性筋を鍛えるのに対して、
太極拳はゆっくり動くことで緊張筋を鍛え、
微細なバランス感覚といざという時のパワーを養うのだそうです。

■中腰姿勢
太極拳の動作はほぼすべてが中腰姿勢で行うそうですが、
これは中腰の姿勢が人体にとって自然な姿勢だからだそうです。

立位では背骨は自然なカーブを描いていますが、
これは頭の脳に振動を伝えないクッションの働きをしています。

人間は進化の過程で直立することで、背骨をカーブさせました。
このことが首のこり、呼吸や心臓への悪影響、腰痛をもたらしているのだそうです。

背骨がカーブしていると、太極拳に必要な背骨の強さが得られないため、
中腰姿勢をマスターするには、背骨のカーブを消すことが重要。

中腰姿勢のポイントは"骨盤を後傾"させて、
"背骨のカーブをなくす"ことにあるようです。

■太極拳の呼吸法
太極拳の呼吸は逆腹式呼吸で行うとうまくいく
逆腹式は腹をふくらませるのが腹式呼吸とは逆の方法。


ゆっくり動くことの目的、中腰姿勢は剣道や他のスポーツにも見られない動きですね。
僕が特におもしろいと思ったことは、"骨盤を後傾"させるということ。

いままで読んできた本では、"骨盤を前傾"させることがすばやく動作し、
力を発揮する上で大切だと解説されていましたので、真逆ですね。
そもそもすばやく動こうとしていないのですね。

"背骨のカーブを消す"というのは、最近話題の兼子ただしさんの理論とは真逆ですね。
兼子さんは「背骨のS字カーブを取り戻す」と言っていて、
それが健康や美容・姿勢の矯正になると説いています。

あと、太極拳は「気功」を体系化させて学べるのも興味深いです。
剣道の「気」はどこか曖昧なものなので、中国武術から学べる点は多いかもしれません。

うーん、身体の使い方はいろいろな視点があって、やっぱり奥が深いですね。
骨盤もただ前傾させることがいいわけではなくて、
後傾させることにもきちんと意味とメリットがあるんですね。

直接剣道に!という知識ではありませんが、とても勉強になりました。(*^-^)b

2011.12.29

一流選手の骨盤の使い方

ジュニア世代の骨盤力―野球のピッチングジュニア世代の骨盤力―野球のピッチング
手塚 一志

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最近すごいと思ったのはこの本。
野球の一流ピッチャーの動作を、ジュニア世代でも身につける方法が説明されています。

七人のトップアスリートと骨盤力七人のトップアスリートと骨盤力
手塚 一志 手塚一志

キネマ旬報社 2010-03-25
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動作の理論については、以前読んだこちらに詳しく書いてあります。
田中将大投手やダルビッシュ有投手、野球以外の選手も事例に
取り上げてあって、とてもわかりやすいです。

骨盤の仕組み
著者の理論は「一流の動作の根本は骨盤にある」ということです。

骨盤のうち仙骨と腸骨の間にある仙腸関節という関節と、
そこから伸びる「弓状線」から動作を始動し、
そのエネルギーを体幹・肩・腕へと動作をつなげることで
身体に負担を少なく、最大限の力を発揮できると解説しています。

もう少し詳しく書くと、ピッチャーの場合は仙骨を中心にして
左右の腸骨をぶつけるように動かすことで、背骨にスパイラル運動がかかります。
このスパイラル運動のエネルギーに加えて、肩から腕にかけてひねりを加えた
スパイラルな投げ方をすることで、一流投手の投げ方になるということです。

背骨と腕の二重のスパイラル運動を利用することを、「Wスピン」と表現されています。

最近のピッチャーだと、岩隈投手やダルビッシュ投手など
細身で長身の選手が目立ちますよね?
それは細身であれば骨盤と背骨のスパイラル運動がより働くからだそうです。

フィギュアスケートでのスピンでも、腕をたたんだ状態の方が早く回転していますよね。
回る物体に対して横の長さが短い方が、
少ない力でより強烈にスパイラル回転できるわけです。

・・・と、きちんと伝えきれているかどうかわからないので、
興味があれば原本を読んでみて下さい。(;^_^A


それにしても、身体の使い方がここまで解説されているなんて驚きです。
僕は野球の経験はありませんが、書かれていることが正しいことはわかります。
とても理論的で納得させられます。

それに、一番最初の本にジュニア世代のピッチャーの投球フォームが
載っているのですが、フォームはプロのものと遜色ないぐらいです。

こういった身体の動作を分析したりする本は、競技を問わず最近かなり多くなりました。
僕はこういう話が大好きなので、いつもチェックしていますが、
その中でも手塚さんの理論は秀逸だと思います。


剣道では残念ながらここまでしっかり身体の使い方について
分析された考え方はまだないと思います。

僕が思うに、剣道の動作の難しさのひとつは、"ひねりがない"ということではないでしょうか?
野球、ゴルフ、テニスなどスポーツには"ひねる系"の動作が多くあって、
そこではこの本で紹介されている骨盤の使い方、身体の使い方を応用できると思います。

剣道ではひねり動作がないので、スパイラル運動を生かすことは
残念ながらできないですね・・・。

でも、剣道でも大切なのは腰の使い方であることは間違いないと思います。

野球で言う「手投げ」とは、腰が使えていない投げ方のことで、
剣道で言う「手打ち」とは、腰が使えていない打ち方のことです。

この辺りになにかヒントがありそうな気がしますが・・・
まだ「コレだ!」という答えがありません。

「腰から打つ」というのは剣道上達の上で一番大切な要素だと思っています。
自分ではそこそこできていると思うのですが、
それを他の人になんとか説明できればなぁと思っています。

ひねり・スパイラル運動がなくて骨盤を上手に使うには何がカギなのでしょうか?
ひとつは骨盤を前傾させることかな。あとは何があれば?